歌川広重が東海道を歩いたのは1832年。その旅から生まれた浮世絵版画シリーズは、日本美術史で最も有名な作品のひとつとなった。あれから約2世紀、熱海のMOA美術館で開催される広重 東海道五十三次 版画×PHOTO展は、当時の版画と同じ場所を撮影した現代の写真を並べて展示し、1830年代と現在の日本の対話を生み出す。
会期は2026年5月15日から7月7日まで、約2ヶ月間。そして「旅」という言葉がぴったりだ——美術館自体が熱海の高台に立ち、相模湾を一望する絶景スポットなのだから。
展覧会の見どころ
広重の東海道五十三次は、江戸の日本橋から京都の三条大橋まで、すべての宿場町を描いている。庄野の橋に叩きつける雨、蒲原で雪に身を寄せ合う旅人、夏の暑さの中で大井川を渡る船——天候と光を真の主役にする広重の才能が際立つ。
「版画×PHOTO」のコンセプトがモダンな視点を加える。現代の写真家が同じ五十三次を訪ね、今残っているもの、変わったものを撮影した。静寂な山道が高速道路のインターチェンジになっていたり、賑やかだった宿場町が静かな住宅街になっていたり。対比は時に切なく、時にユーモラスで、常に考えさせられる。
MOA美術館について
この美術館は広重展以外にも見応えがある。常設コレクションには国宝3点が含まれ、豊臣秀吉の黄金の茶室の復元や、尾形光琳の「紅白梅図屏風」(通常2月に展示)がある。建築家・渡辺洋による建物は、エスカレーターとトンネルのドラマチックな空間を抜けると、海を望む光あふれるギャラリーが広がる。
高台の庭園も隠れた名所。復元された茶室、季節の花々、そして熱海港から伊豆半島までのパノラマが楽しめる。
日帰り旅のプラン
熱海は東京駅から新幹線こだまで約35分(約3,740円)、在来線の東海道線なら約80分(1,980円)。首都圏から最もアクセスしやすいアート日帰り旅のひとつだ。
おすすめの一日:
午前: 東京から新幹線で10時頃に熱海着。熱海駅からMOA美術館の無料シャトルバス(30分間隔)で約7分。
昼: 広重展と常設展を鑑賞。館内カフェでは海を望みながらランチが楽しめる。
午後: 熱海の街中へ。サンビーチの海沿い遊歩道を歩いたり、樹齢2,000年の大楠がある来宮神社を訪れたり。
夕方: 駅近くの日帰り温泉でひと風呂浴びてから帰路へ。
実用情報
開館時間: 9:30〜16:30(最終入館16:00)、木曜休館 入館料: 一般1,600円、大学・高校生800円、中学生以下無料 アクセス: JR熱海駅東口からMOA美術館行き無料シャトルバスで約7分 会期: 2026年5月15日〜7月7日
組み合わせ: 週末なら近くの箱根も。美術館、温泉、山の景色が楽しめる。箱根登山鉄道は小田原(熱海の隣駅)から約40分の絶景ルート。
Image: MOA美術館(熱海), CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons