徳川家は265年にわたり日本を治め、初代にして最大の将軍・徳川家康が1616年に没すると、後継者たちは日本の神社の概念を覆すほど豪華絢爛な社殿を建てた。東京から北へ約2時間、栃木県の山中に鎮座する日光東照宮は、金箔に覆われ、極彩色に塗られ、「見ざる・言わざる・聞かざる」の三猿や眠り猫など日本で最も有名な彫刻群に守られている。
毎年5月、東照宮は春季例大祭で活気づく。その頂点が「百物揃千人武者行列」だ。2026年は5月17日〜18日の二日間にわたり開催され、大行列は5月18日に行われる。
5月17日:流鏑馬と夕刻の神事
初日の見どころは東照宮境内で行われる流鏑馬。狩装束の騎手が狭い馬場を疾走し、的に矢を放つ。鎌倉時代に武芸訓練として始まった伝統だ。夕刻には松明を灯した神事が行われるが、一般参加は難しい。
5月18日:千人武者行列
これが本番だ。千人武者行列は、1617年に家康の遺骸が静岡の仮安置所から完成したばかりの東照宮へ改葬された際の行列を再現したもの。1,000人以上の参加者が三柱の神——家康・豊臣秀吉・源頼朝——を象徴する三列に分かれ、甲冑を身にまとい、火縄銃、弓、槍を携えて三基の神輿を護衛する。
行列は東照宮から樹齢400年の杉並木を下り、約1km先の御旅所まで進み、その後戻ってくる。古木の回廊を甲冑武者が列をなす光景は、祭りというより時間旅行だ。
出発は午前11時頃、帰路は午後1時〜2時頃に東照宮前を通過する。
おすすめ観覧スポット
- 杉並木の参道(表参道):巨大な杉に挟まれた長い参道は最も写真映えする区間。行列は往復で二度通る。
- 御旅所付近:人が少なく、神輿の安置や神事を間近で見られる。
- 東照宮入口付近:出発と帰還を陽明門をバックに見届けられる。
実用情報
- 日程:2026年5月17日(流鏑馬・神事)、5月18日(千人武者行列)
- 場所:日光東照宮(栃木県日光市)
- 東京からのアクセス:
- 東武鉄道:東武浅草駅→東武日光駅(約2時間、特急で約1,500円)。景色がよく、最も手頃。
- JR+東武:新幹線で宇都宮(50分)、JR日光線で日光(45分)。JRパスが使える。
- 日光駅から東武バス(10分)または徒歩(上り30分)で東照宮へ。
- 拝観料:東照宮1,600円(眠り猫エリア・奥宮は別料金)。行列ルートの参道は無料。
- 時間:流鏑馬は5月17日13時頃。行列出発は5月18日11時頃。
日帰りモデルプラン
- 7:30:浅草から東武特急で出発
- 9:30:日光着、バスで東照宮へ
- 10:00:行列前の東照宮見学——陽明門、三猿、眠り猫
- 11:00:杉並木沿いで行列を鑑賞
- 12:30:御旅所の神事、帰路の行列を見届ける
- 14:00:日光名物の湯波(ゆば)料理でランチ
- 15:00:神橋と大谷川渓谷の絶景を散策
- 16:00:帰りの電車に乗車
- 18:00:浅草に帰着
アドバイス
- 東武の「まるごと日光」フリーパス(浅草から約4,780円)がJRパスなしなら便利。往復運賃と日光エリアのバス乗り放題付き。
- 5月18日は10時前に到着を。杉並木は10時半頃から混み始める。
- 重ね着を。日光は標高600mの山間部で、東京より5〜8℃涼しい。
- 日光湯波をぜひ。なめらかな湯葉をお弁当、蕎麦のせ、天ぷらで。参道沿いの店は絶品。
- 陽明門は必見。500以上の彫刻と金細工は写真では伝わらない迫力。日が暮れるまで見飽きないことから「日暮の門」とも。
東照宮の春季例大祭は、日本の封建時代を五感で体験できる祭りだ。本物の甲冑の金属音、あの行列を見守った杉の巨木、そしてあまりの豪華さに後の将軍たちですら「やりすぎ」と思ったという社殿。東京からの日帰り旅として、これに勝るものはない。
Image: 陽明門、日光東照宮, パブリックドメイン, by Fg2, via Wikimedia Commons