定山渓ネイチャールミナリエ:光に包まれる渓谷の夜、温泉と河童の里を歩く(2026年夏)

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2026年7月29日

札幌の夏を逃れるなら、地元の人々が真っ先に名前を挙げる場所がある。定山渓――市の中心部からバスでわずか50分、豊平川が深い渓谷を刻む山間の温泉地だ。昼間は緑の森と火山性の岩壁の間を清流が駆け抜け、6月から10月にかけての夜には、渓谷全体が光のアートに包まれる。「JOZANKEI NATURE LUMINARIE(定山渓ネイチャールミナリエ)」は今年で11回目を迎えるイルミネーションイベントだ。

このルミナリエは、ありきたりのライトアップとは一線を画す。ビルにLEDを飾ったり、通路に提灯を並べるのではなく、森の樹冠、川面、岩壁に直接プロジェクションアートを投影する。光のゾーンを歩いていると、ライトショーを「見ている」というより、発光する森の中に「入り込んでいる」感覚に近い。木々が内側から光り、水面にカラフルな光が揺れ、自然とアートの境界が溶けていく。

照明が施されたウォーキングコースは、二見吊橋周辺と豊平川沿いの二見公園付近に広がる。毎年テーマは変わるが、コンセプトは一貫している――光で渓谷の夜の隠れた美しさを浮かび上がらせること。ゆっくり歩いて所要時間は30~40分。定山渓は標高約300メートルに位置しているため、札幌の蒸し暑い夏の夜とは打って変わって、心地よい涼しさに包まれる。点灯は日没から21時頃まで、入場無料。

温泉街の魅力

定山渓の歴史は1866年にさかのぼる。僧侶・美泉定山が豊平川沿いに湧き出る温泉を発見したのが始まりだ。現在、コンパクトな温泉街には約20軒の旅館・ホテルが川の両岸に並び、同じ源泉から引いた湯を提供している。泉質はナトリウム塩化物泉で、無色透明、わずかに塩味がある。疲労回復や肌のコンディション改善に効果があるとされる。

多くの大型ホテルでは日帰り入浴(立ち寄り湯)を受け付けており、料金は1,000~2,000円程度。渓谷を見下ろす露天風呂を備えた施設もあり、豊平川のせせらぎを聞きながらミネラル豊富な湯に浸かるのは、北海道ならではのシンプルな贅沢だ。

気軽に温泉を楽しみたいなら、街のあちこちにある無料の足湯がおすすめ。月見橋付近の足湯は特に人気で、川の流れを眺めながら足先を温めることができる。

かっぱ伝説と「かっぽんラリー」

定山渓には意外なマスコットがいる――河童だ。お椀型の頭と亀の甲羅を持つ緑色の妖怪で、街中のいたるところに河童の像が隠れている。藪の後ろから覗くもの、橋の欄干に座るもの、店の軒先からひょっこり顔を出すもの――その数は20体以上。河童探しは訪問者に人気のアクティビティになっている。

夏期には「かっぽんラリー」が開催される。観光案内所でラリーカードを受け取り、指定のチェックポイントでスタンプを集めると、ちょっとした景品がもらえる。町歩きのきっかけとして最適で、普段は見過ごしてしまうような路地裏の魅力に気づかせてくれる。

夏のハイキングと自然

渓谷周辺には、夏が最も美しい季節のショートハイキングコースがいくつかある。「定山渓ダム遊歩道」は川沿いに上流へ向かい、定山渓ダムまで続く。ダムの展望台からは貯水湖と周囲の山々を一望できる。舗装路で、片道約40分。

もう少しワイルドなルートを求めるなら、朝日岳(大雪山系の旭岳とは別)への登山道がある。混交林の中を急登し、頂上からは渓谷のパノラマと、晴天時には支笏洞爺国立公園の遠い山並みが望める。往復2~3時間ほど。

街から近い場所では、錦橋と二見吊橋が川の上を渡る短い散策路を提供している。特に吊橋からは渓谷を真上から見下ろすことができ――日が暮れればまさにこの場所がルミナリエの舞台になる。

アクセス

札幌中心部からのアクセスはバスが便利。じょうてつバスが札幌駅バスターミナル(12番乗り場)から定山渓温泉行きの直行便を運行しており、所要時間は交通状況により60~75分。ピーク時は約30分間隔で運行、片道運賃は約800円。SapicaやKitacaなどのICカードが使える。

車の場合は国道230号線で札幌駅から約26キロ、ラッシュ時以外は40~50分の距離。温泉街付近に複数の駐車場があり、日帰り客向けの無料駐車場もある。

定山渓に鉄道駅はなく、公共交通機関はバスのみ。ルミナリエと組み合わせる場合は、最終バスの時刻を必ず確認すること。札幌行きの最終便は通常21時~21時30分頃で、イルミネーションを十分に楽しむには早めにウォーキングを開始するか、旅館に一泊して時間を気にせず堪能するのがいい。

訪問のヒント

ルミナリエは晴天の夜が最も美しい。雨天中止にはならないが、霧が出るとプロジェクションの見え方に影響する。事前に天気予報をチェックし、薄手の上着を持参しよう。8月でも渓谷の気温は20度台前半まで下がることがあり、川沿いは日没後にひんやりする。

夏の渓谷は蚊が多い。虫除けスプレーの持参を強く推奨する。特にイルミネーション散策時は必須。

温泉を利用する場合、タオルの持参か、フロントでのレンタル(200~300円程度)が必要。

夕食は温泉街のホテルレストラン以外では選択肢が限られる。数軒のそば屋や小さな食堂があるが、夕方には閉まるところが多い。日帰りの場合は、札幌で食事を済ませるか、外来客を受け入れているホテルのレストランを利用するのが安心だ。

おすすめのプランは午後遅めに到着し、明るいうちに街歩きと河童像探しを楽しみ、夕方に温泉に浸かり、日没後にルミナリエの散策路を歩くこと。この流れなら、定山渓の三本柱――自然、温泉、光のアート――を一度の訪問で堪能できる。

Image: 定山渓の森林風景, CC BY-SA 2.0, Adam Jones 撮影, via Wikimedia Commons

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