毎年7月、JR平塚駅北口の商店街が色とりどりの七夕飾りで埋め尽くされる。約500本もの手作り七夕かざり——竹と和紙で作られた巨大な吹き流しは、大きなもので10メートルを超える——が、普段のお店の軒先を箔紙と折り鶴と花紙のトンネルに変える。これが「湘南ひらつか七夕まつり」。今年で第74回を迎え、関東随一の七夕祭りとして知られている。
まつりの歴史は1951年にさかのぼる。戦後の復興を目指した平塚の商店街が、仙台七夕まつりに触発されて始めた催しだった。以来70年以上、規模は年々拡大し、3日間で延べ150万人以上が訪れるイベントへと成長した。2026年の開催は7月3日(金)~7月5日(日)。
メイン会場は「湘南スターモール」——平塚駅北口から続くアーケード商店街だ。頭上を見上げると、各商店や町内会、学校がそれぞれデザインした七夕飾りが競い合うように並んでいる。アニメキャラクター、伝統文様、時事ネタなど、毎年テーマはさまざま。和紙・箔紙・手折りの折り紙を何層にも重ねた豪華絢爛な飾りは、風に揺れるたびにきらきらと光を反射する。
スターモールだけでなく、湘南スターモールから脇道に入った通りや紅谷パールロード、明神通りなども飾り付けの舞台になる。駅から半径約500メートルの範囲が祭りゾーンとなり、数百軒の屋台が立ち並ぶ。焼きそば、たこ焼き、かき氷、焼きとうもろこし、チョコバナナ——定番の祭りグルメがずらり。浴衣姿の家族連れ、金魚すくいに夢中の子どもたち、太鼓の音が響く街角。日本の夏祭りの原風景がここにある。
スターモール近くの中央ステージでは、伝統舞踊やバンド演奏、チアリーディング、そしてその年の「織り姫」の選出式など、多彩なステージイベントが繰り広げられる。金曜・土曜は20時30分まで点灯しており、ライトアップされた七夕飾りが夜の商店街を幻想的に彩る。日曜は19時まで。
アクセスはJR東海道線の平塚駅。東京駅から約60分、横浜駅から約30分。まつり期間中は電車の本数も増えるが、特に土曜の午後~夜はホームが混雑するので注意。新宿方面からは小田急線で本厚木経由という手もあるが、JR直通のほうがシンプル。駅北口を出れば、あとは人の流れに沿って歩くだけ。
楽しむコツをいくつか。飾りを明るいうちに写真に収めたければ、14時頃までに到着するのがおすすめ。もっとも混雑するのは土曜日で、金曜の午後なら比較的ゆったり見られる。アスファルトの上を長時間歩くので、歩きやすい靴とハンドタオル、飲み物は必携。アーケードの外は日陰がほとんどない。屋台は現金払いが基本なので、小銭を多めに用意しておくと安心。
入場は無料。チケットも予約も不要——ふらっと立ち寄って楽しめるのがこのまつりの良さだ。
一日を長く使いたいなら、平塚は湘南海岸の玄関口でもある。ひとつ西の茅ヶ崎は穏やかなサーフタウン、東に20分ほど行けば江の島。朝は江の島を散策して、午後から七夕まつりへ——湘南の夏を満喫するゴールデンコースだ。
湘南ひらつか七夕まつりは、花火も神輿もなくても祭りの魔法は宿ることを教えてくれる。手作りの飾り、屋台の匂い、夏の夕暮れ、そして同じ色の回廊を歩く百万の人々。それだけで、十分に特別な夜になる。
Image: 湘南ひらつか七夕まつりの飾り付け, CC BY-SA 4.0, 撮影:江戸村のとくぞう, via Wikimedia Commons